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山村 倬一上席理事エッセイ「同志社カレッジソングと同志社大学歌に想いを寄せて」

皆さんには大変古くて恐縮ですが、往年の名作『カサブランカ』と云う映画を観られたことがあるでしょうか?

映画の舞台は1942年 アフリカ西北部モロッコの都市カサブランカで第二次世界大戦中、ナチスドイツに追われた二人の男女がおりなす悲恋物語りです。(現在DVDでも観られます)その映画の最中突然ドイツ軍兵士たちが立ち上がってドイツ国歌(ラインの守り)を歌い、そのメロディーが我々のカレッジソングと全く同じだったので驚かされます。ウイルへルムと云う人の作曲を後からドイツ軍が採用したのでしょうね、ですから歌詞の内容は全く違います。

私達のカレッジソングは1905年、来日した米国人ウオーリズが作詞したもので新島精神をよく把握し、世界平和を希求する崇高な内容だと認識しています。しかしながら、先の第二次世界大戦で、ナチスドイツ軍がこのメロディーを使った国歌を先頭に、ヨーロッパやソ連(現ロシア)へ進撃し、3000万~

5000万人の人たちが犠牲になり。特にユダヤ人への迫害が強かった様です。

ヨーロッパの国々ではこのメロディーに対してネガティブなイメージを今だに持っていると聞きます。この事は我々のカレッジソングにとって大変残念な事だと思います。音楽には何の罪もありません、それを戦争に利用した人間に罪がありますね。

片や私達には同志社大学歌があります。昭和七・八年頃(1933年頃)日本が軍国主義(独裁国家)に向かわんとする頃、当時の最高の作詞家北原白秋、作曲家山田耕筰によって誕生しました。平和を願うゆっくりしたメロディーですね。この歌のベースはカレッジソングにあり、作詞家、作曲家が意識したことは、自由が失われていく時代に同志社の学生さんに自由の概念を世の中に広めてほしいと云う願いがあった様です。特に一番から三番にわたって輝け 自由と云う文字が表現されています。自由が無ければ民主主義は育ちません。自由の無い世の中は悲惨です。第二世界大戦中、あの重苦しい抑圧された自由の認められない、恐怖感に満ちた時代を家族と共に体験した私(現在85歳)が申し上げるのですから本当の本当です

たかが歌です、されど歌です。歌の力は偉大です。私達はその歌が生れた時代背景をよく認識し、歴史の現実を正しく確認する必要があります。

大学歌

作詞 北原 白秋
作曲 山田 耕筰

一、 蒼空に近く神を思う瞳 挙れり同志社一の精神
伝えよ我が鐘ひびけ高く 栄光新に梢とそよがむ
(折返)
樹えよ人を耀け自由 我等我等地に生きむ
二、 日を月を長く神に出づる真 為すあり同志社国の良心
活かせよ力に立てよ我と 校祖の教化は息吹と薫れり
(折返)
三、 この道は篤く神と通う智徳 幸あり同志社三つ葉のクロバー
治めよ自ら矜れ私学 京都の山河は清かに守らん
(折返)